効率的な組織の典型は、軍隊でしょう。ボトムアップでバラバラに動く軍隊なんてありません。全滅してしまいます。やはり基本はトップダウンです。トップが調査や議論をして、自分の責任で目標や戦略の基本を作るべきです。これは独裁とは違います。トップが考えを述べて、部下と話し、調整して手直しをする。社長に限らず、事業部長でも課長でも、集団のトップは自分の意見をはっきりと示し、そのうえで部下と交流していくべきです。
御手洗冨士夫 元キヤノン社長
この名言を見ている方にお薦めの名言
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反対者には反対者の論理がある。それを聞かないうちに、いきなりけしからん奴だと怒ってもはじまらない。問題の本質的な解決には結びつかない。
渋沢栄一 実業家、官僚
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戦後日本の社会システムのもとで、サラリーマンは会社の成長とともに自分も大きくなったような幻想を抱きました。しかし実態はというと、成長がストップしたとたん会社は個人を切り捨てはじめた。組織が主で、個人が従という会社全体のシステムのもと、組織に裏切られ、個人が責任を取らされるケースまで生じています。組織に従属した個人というのがいかにないがしろされているか。彼らの気持ち、彼らの家族の気持ちを考えると、正直言ってたまらない気持になる。
松井道夫 元松井証券社長
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これからは個々の社員が起業家、事業家にならないとビジネスがうまくいかない。
出井伸之 元ソニーCEO、クオンタムリープ創業者
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集団のルールには従わないといけない、という決まりごと以外に、わたしたちは目の前の個別の児童・生徒に対し、果たして言葉を持っているのだろうか。
村上龍 小説家、脚本家
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仕事の秘訣は人を増やすことではなく、減らすことです。
マーク・ザッカーバーグ Facebook創業者
御手洗冨士夫の他の名言
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経営は、その国の国民に任せるべきだ。おのおのの会社の経営というのは、その国の文化や伝統、行動形式に合わせるのが一番合理的だ。
御手洗冨士夫
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資本戦略や開発戦略はインターナショナルだ。しかし人事はローカルなものだ。移民が多く多宗教多民族で、ルールで成り立っている流動性の高い米国社会には米国のやり方がある。しかし日本は基本的には同一民族で、互助の精神が社会にある。だとすれば、その特色を生かす経営のやり方が合理的だ。日本では終身雇用が合理的だと考えている。
御手洗冨士夫
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世界中どこの会社も現場とトップの一体感のある会社はやはり強い。
御手洗冨士夫
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目標設定は、権限のあるトップが的確に行うことが絶対に必要です。トップダウンは独裁的との批判もありますが、ボトムアップこそ、トップの責任回避です。
御手洗冨士夫
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終身雇用制のいいところは、多くの社員は終身雇用という前提で入社してくるので、たいていの社員は初めから会社に対する愛情を持っています。つまり愛社精神という文化的なコーポレートガバナンスが醸成されやすい。これが第一。それから教育をしやすいし、それが蓄積します。社員が失敗しても、その失敗が人と同時に残って、二度と繰り返さなくなる。
御手洗冨士夫
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デュポンやP&G、IBMなど、本当の一流企業ではホワイトカラーの移動率が2%以下で、実は日本より低い。理想は日本のように制度的な終身雇用をすることではなく、結果的に終身雇用にすることだ。つまり、それぐらい社員にとって離れがたい魅力ある会社にすることが会社の理想形といえる。
御手洗冨士夫
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キヤノンでは毎朝一時間ほど役員たちが朝会を開いています。50年ほど前から続く伝統です。ざっくばらんな議論の中で、互いの考え方を知ることができます。お互いを知ることによって信頼関係も生まれます。海外の出張先から相談の電話がかかってきても、普段のコミュニケーションが土台にありますから、相手の考えや問題意識を即座に把握することができる。スピーディに意思疎通が図られ、答えを出すことができるんです。
御手洗冨士夫
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終身雇用の良さは、社員が長期的に物事を考えられることです。こうした環境は、流動的でぷっつんぷっつんと切れるアメリカ型の環境より優れていると思います。日本のジャーナリズムは、日本のコアコンピタンスを古臭いと言ってけなすけれども、あまりに自虐的で嘆かわしいですね。もっと日本の企業風土の特徴を肯定し、誇りを持たなければいけないんじゃないですか。
御手洗冨士夫
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今の日本では社長というポジションが「あがり」で、4年経ったら「はい、次」となるのも問題だ。任期4年は短すぎる。私も社長に就任して、即断即決ができるようになるまで5年はかかった。たった4年だと問題を解決する余裕がないので先送りになる。そして次の社長になって放置してきた問題が爆発する。その社長はクビを切られるが、元凶の社長はとっくに辞めている。ほかの電機メーカーを見てもそういう話ばかり。実は、グローバルな一流企業では、役員もあまり動かない。米国式経営の導入を、という人は私に言わせれば二流企業の物まねをしている。だから成功しないんでしょう。
御手洗冨士夫
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新卒採用で入って長く会社にいるからこそ愛社精神が育つ。日本の愛社精神は、不正を防ぐコーポレートガバナンスの機能を果たしていると考えることもできます。ひとりが自分の家族を思うように会社を愛せば、ルールがなくても不正は自然となくなる。それから、役員と社員の距離が近いことも経営のチェック機能になる。流動性の高い社会ではありえないことです。
御手洗冨士夫